内視鏡を用いた腰椎固定術(PETLIF:ペトリフ)
- 治療対象
- 腰椎変性すべり症、腰椎椎間孔狭窄症、腰椎変性側弯症
- 特徴
- 数カ所の小さな傷のみで手術が可能
傷はカットバンで止血、抜糸の必要なし
当日から歩行開始でき、入院期間が短縮
- メリット
- 傷が小さく、骨・関節の切除が必要ないため、手術時間が短く、出血量を大幅に少なくできる
- デメリット
- 通常の固定術の経験に加え、脊椎内視鏡の特殊技術が必要
世界的な先端手術であり、日本ではまだ数カ所の施設でしか治療が受けらない
通常の固定術との違い
内視鏡を用いることにより、皮膚、筋肉を大きく切開し骨から剥離する展開という操作を必要としません。
また、傷の大きさ以外にも大きな違いがあります。通常の固定術は
「ネジを用いた整復」→「神経周囲の除圧」→「ケージを用いた固定」
の3つの手術操作が必要となります。
PETLIF(ペトリフ)は脊椎内視鏡手術のテクニックを用い、Kambin‘s Triangleと呼ばれる特殊な侵入経路からケージを挿入・設置します。そのため「神経周囲の除圧」という操作自体を回避することが可能となります。
傷が小さいという利点だけではなく、神経周囲の除圧(骨や関節の切除)を行わない、「生来の機能を最大限温存する身体に優しい手術法」です。
手術手技の詳細
①腰椎にネジを挿入
傷は計5ヶ所(1~2㎝程)
ネジを挿入する4ヶ所
内視鏡を挿入する1ヶ所
移植骨を採取する場合には傷が1ヶ所増えます(部位により大きさは変化します)
腰椎にネジを4本挿入
イメージと呼ばれるX線装置を使用しながら経皮的に挿入するため傷を大きく開く必要がありません
②腰椎のズレ、ねじれを整復
腰椎のずれを整復
左側と右側の赤い線のずれが脊柱管狭窄の原因となります。
ネジを使いずれを整復します。
この操作により神経に食い込んだ骨や靱帯を元の位置に戻すことで脊柱管狭窄を改善させます。
③内視鏡と特殊な手術器械を用い椎間板摘出
内視鏡操作を行うための筒状の手術器械
この手術を行うための必須器具であり長濱院長が自ら設計・作製した特殊な器械です
筒を椎間板内に設置
神経、骨、血管の隙間から筒を挿入します。この筒を通り道として、内視鏡を使用することになります。
④椎体間ケージを設置
内視鏡を使用しながら椎間板を取り除きできた空間に移植骨を充填します
さらに腰椎同士を連結するためのケージ(カーボン製の箱)を打ち込み、設置します。
⑤腰椎固定術の完成
ネジを締め、ケージに圧力をかけ固定します。最後は傷を縫い手術が終了します。
出血量が少ないため、通常の固定術で必須となる血抜きの管が必要ありません。