腰椎椎間板ヘルニアに対する手術法
傷んだ椎間板の一部が後方に飛び出し神経に食い込むことで主にお尻や脚の痛みが生じます。保存治療に抵抗した場合に手術加療を行い、原因となるヘルニアを直接取り除きます。
当院で行う手術治療には3つの方法があります
完全内視鏡手術
(FED、PED)
- 特徴
- 脊椎内視鏡の中でも特殊な手術法。一般的な内視鏡手術で行う部分的な骨・靱帯切除を必要とせず、局所麻酔にて手術が可能。
- メリット
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- 最も傷が小さく(8mm)、術後数時間より歩行可能
- 一般的な内視鏡手術より負担が少なく、1~3泊での治療が可能
- 当院の治療には健康保険が適応できます
- デメリット
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- 椎間板ヘルニアの病態、骨の形状により適応できない症例がある
- 術者に高度な技術が求められるため、実施可能な医師が少ない
内視鏡(アシスト)手術
(MED)
- 特徴
- 一般的な内視鏡手術、椎間板ヘルニアに対する内視鏡手術と言えばこの手術法を指すことが多い。
- メリット
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- 従来法と比較し、傷が小さく(2.5㎝)筋肉を剥がす量が少なくなるため、退院が早くなる。
- 手術の有効率は、従来法と比較しても概ね劣ることがない。
- デメリット
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- 変性が強かったり高度の脊柱管狭窄症を合併する場合には適応できない症例もある。
従来手術
(オープン切開法)
- 特徴
- 傷を開いておこなう、最も基本となる手術法、どのような症例に対しても対応可能
- レーザー治療、酵素注入は内視鏡より低侵襲?
- レーザー治療、椎間板内酵素注入療法は、手技の難易度が低く入院期間も短く対応可能ですが、効果の即効性がなく、有効率自体も他の手技と比較し劣るため当院では実施しておりません。
より早期の社会復帰を望まれる方には、体の負担と手術有効率のバランスが取れた完全内視鏡手術を推奨します。
手術の種類 | 術式 | 麻酔 | 入院日数 | 保険適用 | 有効率 | 創 |
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完全内視鏡下手術 | FED、PED | 局所麻酔 | 2~3泊 | 当院では有り | 80~90% | 8mm |
内視鏡(アシスト)手術 | MED | 全身麻酔 | 7~10泊 | 有り | >90% | 25mm |
レーザー治療 | PLDD | 局所麻酔 | 1泊 | 無し 35万円 | 50~70% | 針穴 |
椎間板内酵素注入療法 | ヘルニコア | 局所麻酔 | 1泊 | 有り | 50~70% | 針穴 |
オープン切開手術 | 従来法 | 全身麻酔 | 2週間 | 有り | >90% | 40mm~ |
手術の方法
[ 01 ]FED, PED
椎間板ヘルニアに到達するための侵入経路に特殊性があり、他の手技で必要となる骨・靱帯の切除が不要です。
そのため体へのダメージが少なく、全身麻酔やドレーン(血抜きの管)を必要とせず、短い入院期間、早期社会復帰が可能となります。
warningヘルニアの出た位置と骨・関節の形状により最適な侵入路が変化するため、「正確な診断、特殊な技術が必要」です。
warning飛び出したヘルニアを直接物理的に摘出することが可能なため、レーザー法、酵素注入法と比較し手術有効率が上がります。
[ 02, 03 ]MED、オープン法
MED法とオープン法の違い
MED法(一般的な内視鏡手術)は専用の筒(直径20mm)を術野に挿入、その筒の縁に内視鏡(約5 mm)を設置し手術を行います。
手術器械はオープン手術と変わらず神経周囲の操作も基本的には同じですが、内視鏡で傷の奥を拡大表示しながら手術を行うため、傷を小さく入院期間を短くすることが可能です。
warningMED法は下記イラストにおいて神経周囲の操作は同じですが、傷を半分以下にすることが可能です。